シンプルにしてはよくないものもある、たとえば辞書
おうちに辞書ありますか?
辞書とか、百科事典とか、現代用語の新知識とか、昔はそういう調べもの用の本が必要でした。今はネットさえあれば用が足ります。
今朝の朝日新聞の「私の視点」というコラムに、国語辞典編纂者というかたの投稿がのっていました。辞書が売れなくなっているとの話ですが、そうでしょう。私も長らく買ったことがありません。翻訳の勉強をしていますが、紙の辞書は使っていません。
中学校とか高校で英語の辞書を買わせる学校はまだありそうです。でも、私は夜、塾で教えていますが、電子辞書を使っている生徒は見ても、紙の辞書を持ってきて使っている生徒は、今まで見てきた10人ほどの生徒の中で、ひとりだけ。電子辞書も、スマートフォンのアプリがあれば必要ないかもしれません。
投稿を書かれた飯間浩明さんは現代日本語が専門で、三省堂の国語辞典を作っておられるようです。飯間さんによれば、今、ネット上にある辞書サイトは、国語の辞書は大辞林と大辞泉の2種類が元になっているそうです。それに対して、紙で売られている国語辞書は十数種類あるそうです。そこで、飯間さんの提案です。
各社が共同で辞書サイトを作ってはどうかというのです。そうすれば、使う側は今まで以上にバラエティーに富んだ説明が読めるようになります。その文脈にぴったりの語義も見つけやすくなります。
その辞書サイトでは、説明の詳しい辺りは有料版にして、会員登録をして読んでもらう。こういう仕組みは、英語の英辞郎でアルクが使っています。そうすると、紙の辞書が売れなくて困っている出版社にも収益が入るだろうという話です。
確かに、ごく限られた2冊の辞書の意味だけが生き残って、せっかく、いろんなかたがそれぞれ研究して作ってこられた他の辞書が消えてしまっては、もったいないです。飯間さんのいう「夢の辞書サイト」ができたら、私、使います。有料会員になるかどうかは、その時の経済状態との相談です。意味を調べるだけではなく、同じ言葉に対する各辞書の意味の違いがずらっと並んだら、読み物としてもおもしろいです。
こういうサイトは、国語辞典だけではなく、英和辞典でも作ってもらいたいです。私は家では英辞郎のお世話になり、たまにはWeblioも使っています。でも、なかなか文脈にぴったりの訳語が見つかりません。これまで、百年近い日本人が英語を訳してきた知恵が集積されたサイトができたら、英語を日本語に訳そうとする人にはDreams come true!でしょう。
国語辞典にしろ、百科事典にしろ、こういうものは断捨離する前に、ちゃんとデジタル化しておかないと、せっかくのこれまでの人類の歴史みたいなのが消えてしまって悲しいです。
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