日本語では消防士、警察官あるいは警官、英語では…… Politically correctの波
日曜日の英会話教室で、消防士の話が出ました。
娘婿が消防士で、
台風で屋根が飛びそうになったとき、
たまたま非番で活躍したという話です。
私たちはもちろん(もっぱら)英語で話していましたから、
消防士をどう言うかというところで、
firemanとすぐに頭に浮かびました。
ところが、NZ出身の英語母語話者(この言葉、口がモゴモゴして、私、好きです)はfire fighterだと言います。
忘れていました!
えー、そんなこと言ったっけ?
あー、そうだった。politically correctだ。
politically correct 政治的に正しい
差別のない言葉遣いをしようという意味です。
この世の中には男女差別、障害者差別、その他もろもろいろんな差別がありますが、
ここまで書いてちょっと脱線、
大学入試だって頭の悪い子を差別するものだ!とは言わないんですなあ。
機会均等には反しているのに。
要するにまあ、言い得て妙といいましょうか、
politicallyなんですね。
政治的に選択したチョイス。
もちろん、差別される側としてはありがたい姿勢、潮流です。
私も女ですから。
ドンドン変わる
このpolitically correctで、
警官はpolicemanからpolice officerへ変わりました。
policemanにしろ、firemanにしろ、
絵本がたくさんあると思うのですが、
どうするんでしょうねえ。
昔、ちびくろサンボの絵本が問題になったことを思い出しました。
私も愛読者のひとりでしたが。
おー、よかった。(アマゾンをチェック)
まだちゃんと売られています!
しかし、出版社が変わっているそうで。
ほんとだ、岩波書店と書いてない。
著作権が切れたそうで。
この隣組がまだ現存する均一社会の日本でも売られているということは、
おおざっぱな英語社会から、
firemanやpolicemanの絵本が消えることは絶対ないですね。
あの頃はかしましかった
私がオーストラリアに移住したのは障害者に対する用語などをpolitically correctにしようとしていた時期だったと思います。
調べると、ちびくろサンボは1988年に各社とも絶版にしています。
私は移住後、オーストラリアの小学校の音楽会に行って、
子どもたちがThree Blind Miceという歌を歌ったのに驚きました。
へーえでした。
Three visually impaired miceともならず、
歌そのものをvanish(消す)せず。
オーストラリアのブリスベンは田舎だったのかもしれませんが、
そのおおらかさが、私にはうれしかったです。
そのころの日本では絶対、学校で歌わなかったでしょう。今でもでしょうが。
元に戻って職業の呼び名
脱線に次ぐ脱線ですが、
では、postmanとかmailmanはどう変えるか、
post officer これはあんまり聞きません。
おまけに民営化の波で、
officerというとなんとなく公務員public servantの響きがします。
office workerなら会社員でまったく民間の響きですが。
不思議ですね。officeが前にあるか後ろにあるかの違いだけで。
調べると、
いろいろ出てきました。ということはなかなか言い換えるのが難しいということです。
letter carrier
mail carrier
postal worker
postal delivery worker 長過ぎるでしょ
mail deliverer
この最後のを投稿していた人はオーストラリアのクイーンズランド州の人で、この辺じゃそう言ってるよと書いてましたが、
聞いたことなかったです、私。
警察とか消防なら私たちの目につくのは現場の仕事が主ですが、
郵便の場合は運ぶのと同じくらい、郵便局での仕事も見えるので、よけいにややこしいのでしょうね。
「今朝、postal workerが来て、その手紙届けてくれたの」とはなんとなく……
これは日本語でも同じです。
配達するのは郵便配達の人、郵便局にいるのは郵便局の人って言いますよね。
そしてpostmanは前者です。
日本語でも変化が
この辺の職業名、日本語はラッキーでした。
警官にも消防士にも、男女を表す言葉が入ってませんでした。
もちろん男の職業のイメージは強くて、わざわざ婦人警官と言ったりしました。
そのかわり、
看護婦→看護師
助産婦→助産師となりました。
「保育士も歴史的にもっぱら女性でしたが、変える必要がなくてラッキー」と書いて、思い出しました。
違いました、保母でしたね。変化が早かったから忘れてました。
保父という言葉も誕生しましたが。
看護師に関しては、
私は口から出すとき、変換がまだスムーズじゃなくて、ちょっと考えないといけないです。
かんごまで一緒だからですね。
この辺の言葉の英語についてはまた日を改めましょう。
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